茨城交通 「湊線存続にたちあがろう」住民が活性化策検討

 茨城新聞 2001年12月21日

 利用客の減少などにより赤字経営を余儀なくされている茨城交通湊鉄道線(湊線)存続の危機感から、地域住民らが立ち上がった。利用者や沿線地域住民代表、地元商工業関係者らが今夏に設立した「湊鉄道線維持存続連絡会」(会長・根本正一那珂湊商工会議所会頭)を中心に、同じ境遇にある私鉄ローカル線の視察などを通し活性化策の検討を開始。
 二十五日の開業八十八周年を前に二十二日から三日間は、対策の一環として割引一日フリー乗車券を発売、多くの人に湊線の現状を体験し理解を深めてもらいたい考えだ。 湊線はJR勝田駅から那珂川河口の那珂湊を通り、美しい海岸線を誇る阿字ケ浦までの全長十四・三`。運行は勝田―那珂湊駅間が一九一三年に開始。二四年には磯崎駅、二八年には阿字ケ浦駅まで開通した。
 地域住民の足として主に通学や通勤などに使われていたほか、夏には海水浴客などでにぎわった。しかし近年、車社会の到来や少子化の影響などから通勤・通学利用数が減少。加えて東水戸道路の開通により、海水浴客の利用も大幅に減少し始めた。
 茨城交通によると、八五年度以降の利用者は百五十万人弱で推移。九〇年度に約百五十万人だったのをピークに二〇〇〇年度には約九十万人にまで減少。この間、九〇年度などを除くと赤字経営が続いている。
 このままでは、厳しい状況に置かれている湊線の維持存続が危ぶまれるとして、活性化を目的とした連絡会を七月に設立。根本会長は「湊線は一つの文化を持っており、無くなるべきものではない。なんとか存続させる方向にもっていきたい」と話す。
 同連絡会は先月、沿線市町村の公的支援などにより再生を図っている群馬県の上毛電気鉄道を視察し活性化策への手掛かりをつかんだ。根本会長は「国営ひたち海浜公園やアクアワールド県大洗水族館と湊線を結び付ける方策などを検討したい」と話し、利用者増に向け来年以降、本格的に検討に入る方針だ。
 二十二日から発売される乗車券は、湊線が一日乗り放題。価格は大人四百四十円(通常八百円)、子供二百二十円(同四百四十円)。期間中は同線那珂湊駅で午前十一時から先着百人にとん汁を無料配布する。問い合わせは那珂湊駅電話029(262)2361へ。