朝日新聞  2006年11月01日

存廃結論持ち越し・鹿島鉄道対策協

 鹿島鉄道の存廃を沿線4市と県が話し合う鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)が31日、石岡市で開かれた。支援する自治体側は鹿鉄に必要経費の削減を打診したが、鹿鉄は「経営改善が見込めない」と述べ、存続の意思がないことを表明した。協議会は運行を引き継ぐ事業者の公募を含め、次回、11月中旬までに存廃の結論を出すことにしている。
 鹿鉄は、来年度以降5年間の存続に計11億200万円の支援が必要としていた。自治体側はこの日、中古車両の導入や百里基地に通う自衛隊員の利用促進などで、6億5千万円まで削減が可能だと提案した。
 しかし、鹿鉄の小野里忠士社長は「血税を無駄にするべきではない。ある時点で踏ん切りをつけて、代替バスに変えていくのが地域への恩返しだと思う」と、今年度限りの廃線を主張。親会社である関東鉄道の支援も厳しいとの見方を示した。
 協議会は、結論を次回に持ち越す一方、鹿鉄が届け出た来年3月の廃止期限まで時間がないため、並行して関鉄グリーンバス(本社・石岡市)と代替バスの検討に入ることで合意した。
 閉会後、会長の横田市長は「個人的には存続させたいが、現実は厳しい」と語った。協議会事務局によると、今年4〜9月の利用客は計38万9772人で、前年比1・1%減。定期以外の利用客は8%増えたものの、通学定期が11・7%減と大きく落ち込んだのが響いた。
 この日の対策協議会を受けて「鹿島鉄道」存続再生ネットワーク(長谷川功代表)やかしてつブルーバンドプロジェクト実行委員会(菅原太郎委員長)など同鉄道の存続活動を展開するグループが31日夜、石岡市内で記者会見し、「事態は厳しいが、最後まで存続活動を続ける」ことを明らかにした。
 同鉄道支援の寄付予約で約2200万円を集めた長谷川代表は「まったく進展がなく、絶句した。今後も寄付予約は続けるし、存続に向けた新たな活動も模索したい」と話した。


茨城新聞 2006年11月1日

鹿島鉄道 存廃の結論持ち越し 中旬の協議会で最終決定
2006/11/01(水) 本紙朝刊 総合1面 A版 1頁
 鹿島鉄道(石岡−鉾田、27・2`)の存廃問題を協議する鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)が三十一日、石岡市内で開かれ、同鉄道への支援策などが事務局から提案されたが、存続か廃止かの最終決定は次回に持ち越された。
 会議は五月以来、半年ぶりの開催となり冒頭、横田会長は「九月ごろを目途に結論を出す予定だったが、膨大な支援額のうえ新車両導入が追加されるなど予想外の事態が発生し開催がずれ込んだ」と陳謝した。
 鹿島鉄道の存続については事務局が五つの選択肢を提案。同鉄道が試算した五年間で十一億円の財政支援をはじめ、上下分離方式や第三セクター方式などが説明された。また十一億円の支援額について「鹿島鉄道」存続再生ネットワークの寄付金受け入れや航空自衛隊百里基地(小美玉市)など新たな通勤利用者による収入増を図り支援額を約五億六千万円に削減する案などが示された。
 これに対し、協議会に出席した鹿島鉄道の小野里忠士社長は「年々利用者が落ち込み、輸送密度が五百人程度(約二千人が損益分岐点)ではどんな選択肢でも鉄道を維持していくのは困難」との見解を示した。
 同日の協議会では結論を持ち越し、事務局が提案した選択肢や支援額などを各自治体や鹿島鉄道が持ち帰り精査した上、次回十一月中旬に開く協議会で最終決定を図ることで合意した。合わせて同鉄道の存続が難しくなった場合に備え、最終決定を待たず新たな事業者の公募手続きや代替バスの準備などを進める。

毎日新聞 2006年11月1日

鹿島鉄道廃線問題:事業継続に難色 存廃結論、今月中旬までに /茨城

 来年3月での廃線を表明している鹿島鉄道(石岡−鉾田、27・2キロ)に関し、存続策を県と沿線4市(石岡、鉾田、小美玉、行方)の市長らで協議する鹿島鉄道(鹿鉄)対策協議会が31日、石岡市内で開かれた。対策協側が示した存続策に対し、鹿鉄側は経営環境の厳しさを改めて強調し、「現在、経営に展望が開けない中、税金を無駄にはできない」として鉄道事業の継続に難色を示した。

 対策協が事務レベルで議論してきた存続策として、鹿鉄が事業を継続する場合に来年度以降5年間で必要と示していた公的支援総額11億円(鹿鉄試算)を、6億5000万円まで圧縮できるとする案や、第三セクター化などが示された。これに対し、鹿鉄の小野里忠士社長は「(鉄道事業に)ふんぎりをつけて、より(財政的)負担の少ない代替バスにする方が地域のためになるという気がする」と話した。

 この日の議論を踏まえ、今月中旬までに再び対策協を開いて「存続か廃止か」の結論を出すことが確認された。【清野崇宏】


2006年11月1日 讀賣新聞

鹿島鉄道の存続問題 結論出ず

対策協が11月中旬に持ち越し

 来年4月1日での廃止届を出した鹿島鉄道(小野里忠士社長)の存続策を検討するため、県と沿線4市などで構成する鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)が31日開かれた。当初は存廃の結論を出す予定だったが、議論がまとまらず、11月中旬に持ち越した。

 県や沿線4市は鹿島鉄道に対し、第3セクターでの事業継続など五つの支援策を示した。そのうえで、同社が来年度から5年間で必要と試算する計11億円の支援について、「民間基金の受け入れや中古車両購入などで6億5000万円まで削減できる」と主張した。

 しかし、同社の小野里社長は、利用状況の改善が見込めない点や親会社の関東鉄道の支援継続も極めて難しいとの理由を挙げ、あらためて「たとえ県や4市などから支援を受けても存続は無理」と強調。さらに「経営改善の見込みのない鉄道に血税を使うのなら、負担の軽いバスなどに代えた方が良いのでは」と訴え、議論はまとまらなかった。

 一方、廃止日が迫ってきたため、協議会は代替バスの具体的な検討や鹿島鉄道に代わる事業者の公募の検討に入ることを決めた。


2006年11月1日 東京新聞

今月中旬に可否判断

鹿島鉄道支援問題 対策協議会が方針

 鹿島鉄道(石岡−鉾田)の存続問題で、県と沿線自治体でつくる同鉄道対策協議会は三十一日の総会で、来年度から五年間の存続に必要な公的支援額を六・五億円と算出した。十一月中旬に再び総会を開いて支援の可否について結論を出す。また、同鉄道に代わる運営会社の公募も検討することを決めた。

 五年間の存続のため、鉄道側は十一億円が必要と協議会に示した。これに対し、更新車両を中古にし、鹿島鉄道存続再生ネットワークなど民間の寄付金を充てれば節減可能と判断した。

 小野里忠士社長は「今の状態では将来展望がない」と述べ、親会社の関東鉄道が本年度末で支援を打ち切る方針を覆すのは難しいとの見方を示した。

 鹿島鉄道は来年三月末での廃線届を関東運輸局に提出。協議会は、代替バスを整備するため十月中に結論を出す予定だったが、日程がずれ込んだため、並行してバス会社に停留所の位置や運行計画を確認することにした。

  (小沢伸介)