鹿島鉄道対策協議会が総会を開催 存続問題 秋までに決定
2006年5月12日
新聞記事

朝日新聞

鹿島鉄道の存廃秋までに決定

2006年05月13日

 鉄道事業の廃止届けが提出されている鹿島鉄道について、県や沿線自治体4市などでつくる「鹿島鉄道対策協議会」(会長・横田凱夫石岡市長)の総会が12日、石岡市であった。7月に予定される次の協議会で具体的な支援の条件や額などを提示して会社と話し合いを続け、遅くとも秋までに存続か廃止かを決めることでまとまった。
 協議会では、会社側が昨年度の決算を公表。鉄道事業収入は約2億600万円で04年度と比べ8・4%減。賃貸や売店の収入などを合わせても2億7656万円で6・5%減少した。乗客数も前年度から6万7千人ほど減って計77万5743人だった。阿久津弘基専務は「通学定期が13・2%も減少し、非常に厳しい状況だ」と話した。
 4月に実施した通学定期代2割引きの実証実験でも、購入者は475人で、前年度比8・5%減。値下げは乗客増に結びつかなかったという。
 自治体側からは、高校生らの保護者も含め、鉄道利用を促す働きかけが必要だとの声が出た。
 また坂本俊彦行方市長が東京防衛施設局を訪れ、米軍戦闘機の航空自衛隊百里基地への訓練移転を容認する考えを示した際、国に鉄道存続のための支援を求めたことを明らかにした。


茨城新聞
支援策10月めど 代替交通も検討 鹿島鉄道対策協石岡で総会
2006/05/13(土) 本紙朝刊 第1社会 A版 23頁
 鹿島鉄道(石岡−鉾田、27・2`)の存続に向け、沿線自治体と県で構成する鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)の二〇〇六年度総会が十二日、石岡市内で開かれ、十月ごろを目標に、同鉄道への支援策や代替交通の検討などの最終結論を出すことで合意した。同鉄道は既に来年三月末での鉄道事業廃止届を提出。旅客人員減少に歯止めがかからず、〇五年度決算でも赤字を計上するなど厳しい経営状況にあり、今後の協議は難航が予想される。
 協議会の冒頭、横田会長は「財政支援をしても一向に経営は好転しない。今後も赤字が予想されるが、残念ながら具体策が見当たらない」とあいさつ。廃止届の提出に伴い、沿線住民らから早急な対応が求められていると述べた。
 〇六年度の事業計画として、@各種支援による鉄道維持の可能性の検討A第3セクター(別会社)による鉄道輸送など代替交通機関の検討−などを承認。事務レベルでの幹事会や沿線自治体首長と議長らによる協議会を精力的に開催し、「十月ごろまでに最終決定する」(横田会長)ことで意見がまとまった。
 席上、同鉄道から報告された〇五年度決算によると、営業収入は前年度比6・5%減の約二億七千六百五十万円で、営業経費を差し引いた経常損益は千二百七十二万円の赤字となった。旅客人員は同8%減の約七十七万五千七百人。特に定期通学の高校生が前年度より約13%、四万五千六百人も減った。
 四月の一カ月間限定で実施した通学定期券の割引(二割)実験も、発売枚数が四百七十五枚と前年度同月より四十四枚少なく、効果が出なかった。
 質疑の中では、航空自衛隊百里基地への米軍戦闘機の訓練移転問題で、坂本俊彦行方市長が額賀防衛庁長官らに同鉄道でのジェット燃料輸送再開などを要望したことが報告されたほか、沿線の高校に生徒の通学利用促進を働き掛けるよう求める意見が出た。
 同鉄道の経営状況について、小野里忠志社長は「輸送密度(一`当たりの平均輸送人員)は通常二千人が収支の分岐点とされているが、鹿島鉄道は五百五十六人と四分の一にも達していない」と説明。その上で「さまざまな取り組みをしたが、実効性のある成果が得られなかった。今後も改善するよう努力したい」と話した。

常陽新聞
●3セク方式など検討へ
鹿島鉄道対策協が総会
鹿島鉄道 (石岡―鉾田27・2`) の存続問題で、 沿線四市と県の 「鹿島鉄道対策協議会」 (会長・横田凱夫石岡市長) の今年度総会が十二日、 石岡市内で開かれた。 十月を目途にした鉄道存続の可能性のほか、 来年四月以降は第三セクター方式による鉄道輸送など代替交通機関についても検討することを決めた。 利用客減少に伴う収益悪化の鹿鉄に対して、 五年間の公的資金支援の最終年度を迎え、 支援存続の可否も含めて最終判断する。
 
鹿鉄が明らかにした昨年度決算によると、輸送人員は〇四年度比8・0%減(六万七千五百人) の七十七万五千人。 減少傾向に歯止めはかからず、 年間八十万人を切った。
 
特に高校生を中心とした通学定期利用者が13・2%減 (四万五千六百人) の二十九万九千八百八十人で三十万人を切る落ち込みを見せた。 通勤定期利用が十三万四千六百人前後でほぼ下げ止まりしたにもかかわらず、 定期外利用者6・0%減 (二万二千人) の三十四万一千人以上に落ち込んだ。
 
「かしてつ応援団」 などによる存続運動にもかかわらず、 中心となる高校生らの通学定期利用が大きく落ち込んだことで、 「存続に見合う分、 通学利用の需要が本当にあるのか疑問」 の声も上がった。 前日、 応援団から提出された計一万六千五百人の公的支援継続要請の署名とは裏腹に、 大幅な利用減の実態に戸惑う姿も見られた。
 
さらに対策協が負担して四月の一カ月間にわたって実施した通学定期の割引実験結果についても報告があった。 二割引にもかかわらず、 〇四年四月に比べて販売枚数は8・5%減 (四十四枚減) の四百七十五枚にとどまった。 販売金額で5・1%減 (五十万円減) の九百三十二万五千円だった。

割引でも利用増にはつながらない結果になった。 対策協はこれらの結果を踏まえ、 十月までに幹事会、 協議会とも各四回ずつ予定し、 最終的な意思決定に向けて協議を進める。

東京新聞

可否、10月までに決定

鹿島鉄道への公的支援

 鹿島鉄道対策協議会は十二日の総会で、来年三月末で鉄道事業を廃止することを届け出た鹿島鉄道への公的支援の可否を十月までに決める方針を確認した。また、行方市が、米軍再編に伴う航空自衛隊百里基地へのF15戦闘機訓練移転容認の条件に、鹿島鉄道による航空燃料輸送の再開などを要望したことを明らかにした。 (小沢伸介)

 県と沿線自治体による公的支援は本年度で終わる。親会社の関東鉄道が来年度以降の財政支援打ち切りを決めたため、鹿島鉄道は自力での運行を不可能と判断。存続の条件として、年間約一億円の公的支援継続を求めている。

 総会では、廃止された場合の代替交通として、路線バスを運行するには最低五カ月間の準備が必要と判断。支援の可否を最終決定するため、十月までに四回目の協議会を開催する本年度事業計画を承認した。

 引き続き会長に就任した石岡市の横田凱夫市長は「次回の協議会で支援の在り方や金額、条件の方向性をまとめたい」と話した。

 鹿島鉄道は昨年度が百万円の赤字、本年度は二千二百万円の赤字を見込む。利用促進策として協議会の補助で割引通学定期券を四月に発売したが、売り上げは前年同期比5・1%減の九百三十万円で、乗客離れに歯止めは掛かっていない。

 小野里忠士社長は「これ以上経費を詰めたらサービス低下や便数減につながる」と強調した。

 また、行方市の坂本俊彦市長が、防衛施設庁を訪れ訓練移転を容認した際、鹿島鉄道での航空燃料輸送の再開と、百里飛行場の民間共用化に向けた路線の延伸を要望したことを説明した。

 坂本市長は「施設庁側は、パイプラインを撤去したので厳しいが検討するという話だった。地元の要望として今後も提案したい」と述べた。


毎日新聞
鹿島鉄道廃線問題:支援策まとめる方針 対策協が総会 /茨城

 鹿島鉄道(石岡−鉾田、27・2キロ)が07年3月での廃線を表明した問題で、存続をめぐり協議している鹿島鉄道対策協議会(会長、横田凱夫・石岡市長)は12日、石岡市内で総会を開き、7月の次回協議会をめどに乗客増の具体策や支援の具体的条件などをまとめる方針を決めた。一方、協議会に出席した同鉄道側からは、厳しい経営状況が改めて説明された。

 協議会は県と沿線の4市(石岡、鉾田、小美玉、行方)の市長と市議会議長らで構成される。総会では、各市長、市議長らが今後の支援策について意見交換。「公的支援の枠がどの程度になるかが最大の問題」(横田市長)、「実際に乗ってこそ(鉄道を)残せる、ということを高校生らに働きかけるべきだ」(県企画部)などの意見が出された。自治体によって利用者数や存続への関心に温度差があることなどを踏まえ、各市が地元で調整し、次回に具体策を出し合うことが確認された。

 一方、鹿島鉄道側は、4月に実施した通学定期2割引きの実証実験の結果などを報告した。それによると、今年4月は、昨年4月に対して発売枚数が8・5%減の計475枚、発売額が5・1%減の計約930万円だった。05年度の乗客数は、前年度8%減の計約78万人だった。小野里忠士社長は「沿線住民の利用がなかった。(見通しが)甘かったのではないかという指摘は甘んじて受ける」と語った。【清野崇宏】

毎日新聞 2006年5月13日


讀賣新聞

鹿島鉄道赤字深刻

昨年度1200万円 通学利用大幅減

 経営難から2007年4月1日での廃線を国に届け出ている鹿島鉄道の沿線4市と県でつくる鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)の総会が12日開かれ、同社が05年度、約1200万円の赤字を計上したことが報告された。06年度の赤字は3000万円を超す見込みで、改めて深刻な経営危機の実態と再建への道の険しさが数字で示された。

 協議会に対し鹿島鉄道が提出した決算報告書などによると、05年度の営業収益は2億7656万円で、前年度に比べ6・5%落ちた。費用などを差し引いた経常損益は1272万円の赤字。

 06年度は減収と費用増で赤字は3267万円の見込み。経営改善5か年計画に盛り込んだ06年度の赤字目標額の1057万円を、既に大きく上回ったかっこうだ。

 協議会は今後、総会と実務者レベルの幹事会を交互に開き、鹿島鉄道維持と第3セクターによる代替輸送の可能性の両面で対策を検討する。そのうえで、今年10月までに最終的な意思決定を下す方針。

 市町村合併を終え、今回の総会から県以外の構成団体が石岡、小美玉、行方、鉾田の4市となった。横田市長は「協議会にとっても対策をどうするかの正念場。次回は方向性を見出したい」と話していた。

 この日の協議会で鹿島鉄道は05年度の輸送人員も発表したが、減少数の大半を通学利用が占めていることがわかった。協議会側には「存続を願う生徒の運動が盛んなのに、通学利用がこれだけ減っているとは」と意外感も広がった。

 同社によると、05年度の輸送人員は約77万5700人で前年度に比べ8%、約6万7500人減った。減少のうち、通勤者はわずか60人に留まったものの、通学は4万5600人と13・2%も落ち込んだ。4月には通学定期の割引実験も行ったが、定期の販売は475枚で昨年4月を44枚下回った。

 生徒側では沿線の中高生徒会でつくる「かしてつ応援団」が協議会に公的支援の継続を求める署名を提出したばかり。団顧問の栗又衛・小川高教諭は「団の運動が増員につながらなかったのかもしれない」と落胆を示しながら、「運賃の割高感があって家人が送迎しているのも事実」と、生徒と共に存続へのアピールを続けていく意思を示した。

2006年5月13日  読売新聞)