2006年9月6日 茨城新聞

<2> それぞれの支援 増収への道筋を模索
 鹿島鉄道線存続への支援の輪は沿線ばかりでなく、県内外に広がりを見せている。住民や高校生、鉄道愛好家などがそれぞれ個別の団体を立ち上げているが、思いは「鹿島鉄道をなくしてはならない」と共通だ。

 存続活動に取り組む「かしてつブルーバンドプロジェクト実行委員会」(菅原太郎委員長)が八月二十七日、同鉄道全線で「かしてつ祭り」を開いた。通常千百円のフリーきっぷを百円で販売、その差額を補てんしたほか、トークショーやカラオケ列車の運行など、さまざまな趣向で同鉄道の魅力をアピールし、これまでになく多数の来場者を呼び込んだ。
 同実行委は昨年十一月、支援団体のメンバーや高校生らを中心に設立。存続活動のシンボルとして、シリコン製の「ブルーバンド」を製作・販売し、イベントの運営資金などをねん出している。こうしたイベントや駅頭で存続を求める署名を集め、横田凱夫石岡市長に手渡すなど、行政に対する働き掛けも行ってきた。
 「現役では日本最古の気動車が走り、沿線の風景も美しい。『鹿島鉄道』という地域の財産を、今生きている私たちが守らなくてはならない」と菅原さんは力説。同鉄道存続の重要性を訴える。

 県内外の鉄道愛好家らで組織する「関鉄レールファンCLUB」は、鉄道愛好家ならではのアイデアで、集客力の高い企画を次々と打ち出している。同鉄道の乗車と見学、撮影会などを組み合わせた「みんなでカシノリ」は、毎回全国から百二十人以上を集める人気イベント。同鉄道の知名度向上に一役も二役も買っている。
 存続の危機が表面化した二〇〇一年に活動を開始した同クラブの代表、十文字義之さん(41)は「これまでいろいろな鉄道の廃止を見てきたが、鉄道がなくなると沿線の街は死んだようになってしまう。本当になくなってもいいのか、もう一度考えてほしい」と話す。

 沿線住民も本格的に活動を開始、解決策を探っている。「鹿島鉄道」存続再生ネットワーク(長谷川功代表)は八月二十二日、「鹿島鉄道存続再生基金を設立し、寄付の予約を受け付ける」と発表した。目標の二億円が集まれば、二年間の支援延長が可能という。長谷川代表は「鹿島鉄道の今後について徹底的に検討するための時間として、あと二年ほしい。その間に利用者増に向けた対策を打ち出したい」と訴えている。
 拡大しつつある支援の輪をどのように利用者増、増収という現実の課題とリンクさせるか、ハードルは高い。

【写真説明】
イベントの参加者に鹿島鉄道の存続を呼び掛けるかしてつ応援団=行方市玉造甲の玉造町駅