2006年11月7日 讀賣新聞
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県と4市は鹿島鉄道の経営支援のため、2002年度から今年度までの5年間で計2億円を支出した。それでも鹿島鉄道の経営悪化は進み、路線存続には来年度からの5年間で、最低でも6億5000万円の財政支援が必要と試算されている。
県や4市はこれまで、廃止届撤回を目指し、協議会の場で局面打開への話し合いを続けてきた。だが、鹿島鉄道が廃止届を出す原因となった乗客減を上向かせるめどは立たなかった。経営改善が期待できないまま支援額を拡大させることに、県や各市の間には「少数の利用者のためだけに、億単位の税金をつぎ込むのは他の住民の理解を得られない」「議会も説得できない。廃線もやむなし」との否定的な声が広がっていった。
鹿島鉄道も10月末の協議会で、「改善の見込みがない」と述べ、改めて廃線を翻意する意思がないことを強調。県や4市は「新たな財政支援の枠組みを作っても、経営主体がいなければ意味がない」(県幹部)と判断し、支援打ち切りが固まった。
存続を求める運動は行政だけでなく、沿線の高校生らでつくる「かしてつ応援団」が利用促進を訴えている。ただ、高校生の通学客減には歯止めがかかっていない。
また、当面の存続費用の一助にと、民間を中心にしてできた「鹿島鉄道存続再生基金」が寄付集めに奔走している。しかし、これも10月初めの時点で約2000万円と、目標(2億円)の10分の1にとどまっている。
今後、別の鉄道事業者が鹿島鉄道から経営を引き継ぐ可能性も残されている。とはいえ、仮に別会社が名乗りを上げても、引き継ぎ準備には相当期間が必要で、4月の廃線には間に合わないと見られる。ある沿線市の担当者は「今の(経営内容の)鹿島鉄道を引き継ぐのは慈善事業に近い」と悲観的な観測を示した。