2006年9月17日 毎日新聞
菜の花畑でカシテツ存続 NPOが“夢の構想” |
2006/09/17(日) 本紙朝刊 第1社会 B版 23頁 |
廃線問題で揺れる鹿島鉄道の沿線を、菜の花畑のエコミュージアムにして観光客を呼び込もう−。霞ケ浦再生に取り組むNPO法人アサザ基金(飯島博代表理事)は、食用油を再利用したバイオ燃料で、鉄道存続と水質浄化の両立を図る“夢の構想”を打ち出した。地元の鹿島鉄道対策協議会(会長・横田凱夫石岡市長)と県に構想を説明し、「検討に値する提案」と好反応を得ているという。 沿線をエコミュージアムに アサザ基金では霞ケ浦(西浦)沿岸の石岡市と、北浦に面した鉾田市を結ぶ鹿島鉄道を霞ケ浦流域のシンボルと考え、“眠れる資源”として沿線の休耕田(耕作放棄地)に着目した。アブラナ(菜の花)やヒマワリなど植物油がとれる作物を有機農業で育て、生産した植物油を流域の学校給食や企業の社員食堂などに活用する。 また、使用後の廃油からは軽油の代替燃料になるバイオ燃料を精製し、鹿島鉄道や流域市町村の公用車の燃料などに利用して収益を確保していく計画だ。 有機農業の肥料には霞ケ浦で駆除した外来魚の魚粉を活用し、水質の浄化にもつながるという。アサザ基金ではこれまでに、漁業者と農業者、市民団体が連携し、外来魚を有機農業に活用して霞ケ浦再生を進めるプロジェクトを実践している。 アサザ基金によると、鹿島鉄道沿線四市の耕作放棄地は三千二百三十二f。湖岸の菜の花やヒマワリの花から取れた植物油を燃料に鹿島鉄道が走行すれば、沿線地域は循環型社会を実践する環境教育のモデル地区(エコミュージアム)になる可能性を秘めているという。 さらに農業や漁業体験を取り入れたエコツーリズムで、修学旅行や視察などの観光客が増えると見込んでいる。 飯島代表理事は「十万人が訪れるようになれば、収益性の高い事業になる。霞ケ浦のシンボルとしても存続させていかなければならない」と話している。(津留伸也) |