2007年3月22日 茨城新聞
ひたちなかで湊線シンポ 茨交「民間企業に限界」 |
2007/03/22(木) 本紙朝刊 県内総合 A版 20頁 |
一丸になって存続を ひたちなか市内を走る茨城交通湊線の存廃問題で、存続に向けた盛り上げを図る「湊線を考えるシンポジウム」(湊鉄道対策協議会、おらが湊鐵道応援団主催)が二十一日、同市鍛冶屋窪の市那珂湊公民館で開かれた。車社会化と少子化の進展で県内の地方鉄道も相次いで苦境に陥る中、九十三年の歴史を誇る同線を存続させるにはどうすればいいか、シンポジウムで意欲的な議論が繰り広げられた。 同問題をめぐっては、年度末の今月中に茨城交通が国に対する同線廃止届を提出するかどうかが焦点。こうした中で、沿線をはじめとする住民の関心を高め、共通認識を持って存続へ取り組む必要があるとシンポジウムが実施された。那珂湊地区や沿線の住民のほか、市外を含めて約百八十人が参加した。 冒頭、同対策協会長の本間源基市長は「利用者を増やすのは地域の力であり、行政による財政的な支援もしなくては現実的に存続できない。一方で事業者のサービス向上などの努力も欠かせない」と述べ、住民、行政、事業者が一丸となって取り組んでいく必要性を呼び掛けた。 茨城交通の竹内雄次常務は利用者減に直面し経営難にある同線の現状を説明。「一民間企業にできることには限界があり、これからどうやって公共交通を維持するのか、行政と市民、企業がそれぞれの立場で考えていかないといけない」と訴えた。大東文化大副学長の今城光英教授は「湊鐵道再生のためのシナリオ」をテーマに基調講演。「中心市街地活性化と地方鉄道は表裏一体で、鉄道は都市の装置として位置付けるべき」などと指摘した。 パネルディスカッションは応援団や自治会、商工会議所、企業、高校生など多彩な顔ぶれがそろい、この中で井上薫市商工会議所副会頭は「絶対に廃止してはいけない。住民は湊線をずっと愛し続けてきた」と力を込めた。県立那珂湊一高の和田トシ子校長は「自転車通学が半数近くいるが危険だ。湊線がもっと安くなれば利用者が増える」と提起した。また、車内マナーの向上やJR常磐線とのスムーズな接続への工夫も指摘された。 |