2007年3月30日 茨城新聞
茨城交通湊線 年度末廃止届見送りへ 関係機関と調整 |
2007/03/30(金) 本紙朝刊 総合1面 A版 1頁 |
県と地元市 支援協議を継続 ひたちなか市内を走る茨城交通湊線の存廃問題で茨城交通(水戸市)は二十九日、国に対する同線廃止届提出を当面見送る方向で関係機関との最終調整に入った。ひたちなか市に加えて県も支援に乗り出す考えを打ち出したことで、焦点だった年度末の段階で廃止届見送りへ大きく流れが傾いた。債権者である金融機関側がそろって同社の考え方を受け入れるかどうかで状況が一変する可能性は残るものの、県と市は今後、支援策について同社側と突っ込んだ協議を行っていく方針だ。 橋本昌知事と本間源基市長が二十八日、同線存続へ向けた支援の在り方について対応を協議したことを受け、県と市の担当者は同日夕、茨城交通にあらためて存続への努力を要請。複数の関係者によると、この中で同社側は廃止届提出見送りの方向で金融機関などに理解を求めていく考えを表明した。 同問題をめぐっては、同社が金融機関の合意を得て二〇〇五年九月に策定した再建計画中に「〇八年三月末までの不採算部門から撤退」が盛り込まれていたことから、鉄道事業法で定められた「廃止の一年前までの廃止届提出」の期限となる今月末が一つの節目と見られていた。 県と市は仮に廃止届が提出された場合でも、茨城交通との協議を続ける方針を示していたが、実際に提出された際の地元への影響を懸念。安全対策にかかわる投資への補助を含めて財政支援を行う考えを示し、同社の翻意を促してきた。 ただ、廃止届提出見送りが存続に直接結び付くわけではない。「猶予期間」はそれほど長くないとみられ、利用者の減少に歯止めをかけ、同線の赤字体質からの脱却を図るためには利用促進が急務。通勤や通学のための定期利用者を増やすなど利用促進策の具体化が早急に必要な状況に変わりはない。一方、本間市長はかねて茨城交通のさらなる経営努力の必要性を強力に指摘しており、事業者側のサービス向上と経費削減も不可欠になる。 現時点で県と市の支援の枠組みは固まっておらず、県と市は茨城交通が提出している〇七年度から五年間の収支見通しの中身を精査し支出削減を求めていく中で、県民や市民に理解が得られる現実的な支援の在り方を模索していく考えだ。 |