2007年12月7日 朝日新聞

湊線に税12億円/来年度から10年間

2007年12月07日

 ひたちなか市の茨城交通湊線(勝田―阿字ケ浦、14・3キロ)を第三セクター方式で存続するため、国や県、市が来年度から19年度までの10年間に計12億円の税金を投入する見込みであることが6日、市の発表で明らかになった。利用客が想定を下回ればさらに負担は膨らむ恐れもあり、新会社の経営努力と、市、同社の株主責任が問われる。
 新会社への支援額は10年間で国が2億7千万円、県が3億6千万円、市が出資金含め6億2千万円と試算された。
 ●新会社の設立
 新会社は茨城交通の鉄道部門を分社化してできる。市は、茨城交通が持つ新会社の株式の半数を9千万円で取得し、茨城交通と50%ずつ持ち合う。市の9千万円は県の補助金約3千万円と県からの借入金でまかなう。
 市の出資金9千万円は、光ケーブル事業の今後10年の予測収益1億8千万円を鉄道資産の価値と算定。その半額を市が茨城交通に支払い、残りの半額は、茨城交通が鉄道資産の現物で出資する形態をとる。
 茨城交通は株売却で得た9千万円を鉄道資産に設定された根抵当権の解消に充て、借金を整理する。新会社に手持ち資金はないため、市は新会社の当面の運転資金として4千万円を無利子で貸し付け、08年度中に返済を受ける。
 ●設備投資は
 新会社は、国・県・市からの10年間の経営支援総額の8割にあたる9億3千万円を設備投資費補助として受ける。08年度は中古車両3両を購入し、09年度以降は行き違い設備の新設や、踏切、軌道を改修をする。
 ●手厚い保護
 新会社は毎年2億円超の収入を上回る支出を見込む。赤字は10年間で2億4千万円になる見通しで、市は新会社から支払われる固定資産税や都市計画税1億6千万円(10年間)を経営支援補助として新会社に戻す。経営支援補助で埋まらない赤字も修繕費として、県と市が10年間で4千万円ずつ支出する手厚い「保護」が用意されている。
 一方、市は湊線の利用者を増やすため、市民から寄付金を募り、トイレなどの改修や利用促進事業などに充てるための基金を設立する。