朝日新聞

「年4週以内」協定締結 百里基地訓練移転

2007年01月18日

 米軍再編に伴う航空自衛隊百里基地への米軍嘉手納基地(沖縄県)のF15戦闘機の訓練移転問題で、小美玉、鉾田、行方の3市と東京防衛施設局は17日、県庁で協定を締結した。全国に6カ所ある移転先での協定締結は初めて。協定では、百里基地の訓練は「年4週間以内、1回の訓練期間3〜15日」との条件も明文化され、住民の要望が結実した形だ。しかし、騒音や安全についての対応は不透明で、今後は各市が同施設局と具体策を協議していく。(木村聡史)

 橋本昌知事立ち会いのもと、締結式には島田穣一(小美玉)、鬼沢保平(鉾田)、坂本俊彦(行方)の3市長と、同施設局の徳地秀士局長が出席し、協定書に調印した=写真。

 協定の内容は昨年12月の検討会でまとまった最終原案通りで、共同訓練の形式のほか、騒音対策▽安全対策▽地域振興の4項目。橋本知事は「(訓練移転での)協定の締結は全国で初めて。国側が柔軟に対処してくれた」と述べ、徳地局長は「協定を重く受け止め、住民の要望に対して誠意を持って対応したい」と話した。

 百里での日米共同訓練は「年4回で年4週以内、1回の訓練期間は3〜15日」との条件が定められていたが、米軍再編に伴い昨年5月、「年4回」の部分が撤廃された。このため基地周辺住民が強く要望し、協定では残る「年4週以内、1回の訓練期間は3〜15日」の条件が具体的に明記された。住民らは、協定の存在が自衛隊と米軍との共同訓練が拡大する場合にも一定の「歯止め」になると期待する。

 だが、住民が期待した騒音や安全対策には、具体的な数値などは盛り込まれなかった。3市長は「住民の要望に沿って個別に協議する」と口をそろえており、今後は国側から要望通りの対応が、引き出せるかどうかに注目が集まりそうだ。鉾田、行方の両市には、新たな騒音測定器が設置されており、18日には3市長が久間章生防衛相を訪ね、地域振興策の実施を要望する。

 協定締結を要望し続けてきた住民団体「百里基地周辺地域整備協議会」の藤田幹泰会長は、「長かったが『協定』という形となってよかった」と語る一方で、「騒音対策や地域振興など我々が要望していることはほかにもあり、実現について注意深く見守っていきたい」と話した。