2006年3月31日 読売新聞
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国交省は今後、地元自治体などが申請すれば5月下旬をめどに公聴会を開く方針。その報告を踏まえ、6月中に廃線の是非を判断する。
鹿島鉄道は通学客ら輸送人員の減少や航空自衛隊百里基地への燃料輸送ストップで経営が苦しくなった。さらに親会社の関東鉄道(本社・土浦市)と、県と沿線自治体で構成する対策協議会(会長=横田凱夫・石岡市長)による2つの資金援助が、いずれも2006年度いっぱいで終了することが決定打となった。
関東鉄道の打ち切りは、つくばエクスプレス(TX)の開通で都心とつくばを結ぶ同社の高速バスが大きな打撃を受けたことが大きく、本体の体力強化を優先させた。協議会による援助は06年度までに計約2億円に上るが、鹿島鉄道は「07年度も運行する場合、さらに大規模な設備投資が必要」との見解を示すなど、廃線の方針転換には至らなかった。
横田会長は廃線届け出に「支援継続中の提出は誠に残念。協議会として容認したわけではないし、廃止届イコール廃止ではない」と批判。メンバーの鬼沢保平・鉾田市長も「今後も協議会を通じ、増客、増収に向けた協議を続ける姿勢に変わりはない」と強調し、協議会が4月に行う通学定期の割引実験は予定通り実施する構えだ。
また、支援募金や署名活動を行ってきた沿線の中高生徒会でつくる「かしてつ応援団」の寺内壮馬団長(小川高2年)は「あと1年あるので、今まで以上に署名や募金を集め、廃止届を取り下げてもらえるようにしたい」。生徒や住民、行政を交え、支援継続の必要性などについて意見をまとめるという。
一方、県は「届け出は予想していた」と冷静に受け止めながら、協議会の場で支援策の練り直しを急ぐ。
ただ、県庁内には「鉄道を利用している地元自治体が率先して追加負担を出す姿勢を示さなければ、県も新たな支援は考えにくい」(幹部)との慎重な意見も出ている。