2007年3月25日 朝日新聞

廃線の鹿鉄 風景は永遠 パステル画に

桃浦駅近くで沿線の風景を描く静遥さん

今月いっぱいで廃線となる鹿島鉄道をパステル画に残そうと、千葉市緑区の画家、静遥(しず・はる)さん(51)が沿線でスケッチに励んでいる。「のどかな鉄道風景が消えてしまうのは残念」。4月には「鹿島鉄道の思い出」として千葉県我孫子市で個展を開く。(川島幹之)
 日本の原風景をテーマに絵を書き始めて30年の静遥さんは数年前から、「関東の駅百選」に選ばれた鹿島鉄道鉾田駅をスケッチに訪れるようになった。
 この1月、鉾田駅職員から廃線となることを聞いた。驚いた静遥さんは改めて描写のポイントを探して同鉄道沿線を回り、「あちこちに味わい深く、のどかな鉄道風景がある」ことに気づいた。以来、天気の良い日はほとんど沿線を車で訪ね、泊まりがけでパステル画を描いている。
 「描けば描くほどますます愛着がわく。古きよき原風景の中を行く可愛らしい車両の魅力にとりつかれた」と話す。
 「完全現場主義」という静遥さんは3、4時間で1枚のパステル画をほぼ描き上げる。「現地で描くことで、そこの空気感といったものが表現できるから」
 個展は4月3日〜15日(8、9日は休館)。我孫子市布佐のギャラリー「芙蓉(ふ・よう)」(電話04・7106・1369)で。描きためた鹿島鉄道の風景画のうち十数枚と、千葉県の四季を描いたパステル画を展示する。