鹿島参宮鉄道鉾田線時代のSL(4号機)が静態保存されています
2003年2月現在

 場所:栃木県壬生町のおもちゃのまちにある「株式会社トミーテック」の本社事業所構内
      栃木県下都賀郡壬生町おもちゃのまち3−3−20
 2003年2月22日に訪問し、写真を撮りました。事務所入口前にきちんと展示され、塗装などもしっかりしていました。よく手入れされている印象でしたが、野ざらしなので、腐食も目立っていました。
 東武鉄道宇都宮線の「おもちゃのまち駅」から、歩いて10分程度の距離です。玩具メーカーの団地内にある「トミーテック」はトミーの関連会社です。
 おもちゃの駅前には、鹿島参宮鉄道竜ヶ崎線を走っていた蒸気機関車5号が展示されています。鉾田線4号機と共に、トミーの工場構内(現在のトミーテック)に保存されていたものを移設したとのことです。

 きれいに塗装されている  事務所の入り口に展示  鉄道省時代のプレート
 窓も当時のまま   やや腐食もみられる
 車輪も整備されている  1896年、ドイツ・クラウス社
 昭和54年  昭和54年   運転席内部も塗装は良好

掲示板(トミーテック構内の)より

 ここに設置された2台の蒸気機関車は、1979年(昭和54年)迄、株式会社オリエンタルランドの用地(千葉県浦安)に保管されていた。同社より譲渡を受けたトミーは、日本車輌製造株式会社に修復を依頼した。同社により復元修理された2台のSLは、1980年(昭和55年)5月トミーによって、この地に静態保存公開された。  *撮影者注:オリエンタルランドはディズニーランドの経営会社であり、京成電鉄の関連会社である。その関係で、開園前のディズニーランド用地に保管されていたのであろう。 
1412蒸気機関車
 ドイツ・クラウス社より、1896年(明治29年)に九州鉄道が購入し、No.44とした。1909年(明治42年)鉄道国有化の波の中で九州鉄道管理局に配属。形式1400No.1412と改正されて明治、大正の各時代を走り続けた。
 1927年(昭和2年)に国から払い下げを受けた鹿島参宮鉄道(現、関東鉄道)の鉾田線で1963年(昭和38年)頃迄使用していた。同型の蒸気機関車は、日本に19両購入され、No.1400〜1418と指定されていたが、払い下げ後は民鉄や各工場などで活躍していた。だが1960年(昭和35年)迄にその全部が廃車され、ここに設置された1412を除いて解体されてしまった。
 この型の機関車は,KRAUSS社製の10型や1400型と同様のワルシャートタイプの弁装置を持ち、初めて日本にその弁装置を紹介したものとして評価されよう。また、シリンダーと弁室が保守に便利な分解構造になっている。更に動輪のバランスウェイトの一方を小扇形に設計してあるなど現存する貴重な蒸気機関車と言える。
  1412蒸気機関車の主要諸元
気筒径×行程 ; 379×540mm
使用圧力    : 11.3s/平方cm
火床面積    : 1.10u
伝熱面積    : 77.8u
伝熱面積  煙管 : 71.3u
  〃     火室 : 6.5u
運転整備重量 : 35.9ton
水槽容量    : 5.7立方m
燃料積載量  : 1.65ton
最大寸法(長×幅×高) : 
      9566mm×2515mm×3620mm
動輪径     : 1120mm

  龍ヶ崎線を走っていた5号機関車 「おもちゃのまち駅」前に静態保存されている
             2003年2月現在

 鹿島参宮鉄道のマークも健在
 説明看板より (5号機関車)
         永遠なれ蒸気機関車
 ここ栃木県おもちゃのまち駅に、なつかしいSLがやって来ました。この5号蒸気機関車は大正・昭和の二代、半世紀の長きにわたり、かぎりないロマンを乗せて走りつづけ、輸送の大任を果たして参りました。そして第一線を引退後、“Tomix”という鉄道模型を製造している、当おもちゃ団地内のトミー工業株式会社栃木事業所構内に、保存されておりました。しかしこのたび、より多くの人々に親しんでいただく為に、この場所に移し静態保存されることになりました。この保存のために御協力いただいた、東武鉄道株式会社ならびに、トミー工業株式会社に対し深く感謝するとともに、御覧なる皆様の心の中に、いつまでもこのSLが生き続けることを願うものであります。
   1982年12月 輸出玩具工場団地協同組合
 5号蒸気機関車は、1921年(大正10年)栃木県の宇都宮石材軌道(株)(昭和6年東武鉄道(株)へ合併)が日本車輌製造(株)より購入しました。その後、東武鉄道のNo.58をへて、1938年(昭和14年)に鹿島参宮鉄道(株)(現・関東鉄道(株))の竜ヶ崎線へ移動し、1970年(昭和45年)頃まで使用されました。動揺改善が目的と思われるヘンシェル形の変形と言える従輪付きで、C1の軸配置は日本車輌製造(株)でつくられた数多くの蒸気機関車の中でも現存する最古のものと言えましょう。
   5号機関車の主要諸元
気筒径×行程:330mm×451mm
使用圧力:12.66kg/cm2
火床面積:0.88m2
伝熱面積:48.59m2
(煙管:44.32m2/火室:4.27m2)
運転整備重量:29.97t
水槽容量:4.54m3
燃料搭載量:1.185t
最大寸法(長×幅×高):
8312mm×2642mm×3454mm
動輪径:914mm
  管理 輸出玩具工場団地協同組合
  土地提供 東武鉄道株式会社
  機関車提供 トミー工業株式会社