2008年3月10日 茨城新聞

県内全市町村が連携 テーマ圏域別 利用促進策を模索

公共交通活性化5研究会
 公共交通の活性化に向け、県内の四十四市町村が連携を強める。昨年十月に設置された県公共交通活性化会議の中に、今月から順次、五つの地域研究会を立ち上げ、利用促進策の在り方や地域連携の可能性を模索する。研究成果は会議のメンバー全体で共有し、現在抱えている課題の解決や新たな活動に結び付ける方針という。

 五つの地域研究会は、テーマ別の「コミュニティバス・デマンドタクシーなどの効率的運用」(参加三十六市町村)、「公共交通の利用促進」(同十五町村)、圏域別の「県央」(同九市町村)、「土浦・つくば・筑西・鹿行北部」(同十六市町村)、「古河」(同三町)。参加市町村がそれぞれ一年間かけ、研究課題に沿って話し合いを進める。
 「コミュニティバス・デマンドタクシーなどの効率的運用」は、実際に取り組みを進める各自治体のデータ比較などを行い、効率的な運行や適正な利用者負担、既存の鉄道・路線バスとの調整方法を検討する。
 現在、民間バス路線の空白を補い住民の移動手段を確保するコミュニティバス(有料)は県内十七市町、さらにバスとタクシーの長所を備えたデマンドタクシーは九市町村が、それぞれ運行。民間バス路線と並び、地域の公共交通の柱として注目され、多くの市町村が関心を持っている。
 圏域別の研究会は、参加市町村数によって大小三段階の規模。各圏域内の公共交通の在り方や自治体連携による広域路線の利用促進・維持確保策などの研究を進める。
 昨年四月に策定された県公共交通活性化指針によると、市町村の役割については@コミュニティバスの運行Aデマンドタクシーの運行B路線バスの維持−を三本柱として取り組み、住民意識の醸成を図りながら利用を促進し、公共交通の維持・確保につなげるとしている。
 また、同会議は公共交通の利用促進に向けた利用者自身の取り組みを支援するため、活動に資金援助する。本年度は、廃止された鹿島鉄道の代替バス利用促進を図る「かしてつバス応援団」(石岡市)、知的障害者の自立に向けて公共交通の利用方法を研修する「NPO法人・蛍の会」(水戸市)の二団体に各十万円を助成。来年度以降も団体数を増やしていく方針という。