2007年2月26日 茨城新聞
<4> 公共交通活性化 客減少道のり遠く |
2007/02/26(月) 本紙朝刊 総合1面 A版 1頁 |
![]() 鹿島鉄道線の三月いっぱいでの廃止が決まった瞬間だった。県内の地方鉄道の廃止は二〇〇五年春の日立電鉄線に続くものだ。 本県は、公共交通による輸送人員が全国を上回るペースで減り続けている。 県企画課交通対策室の調べでは、高速バスを含む県内の乗り合いバスの輸送人員は一九六九年度の二億三千四百万人をピークに減少し、〇四年度には四千二百万人と、ピーク時の約18%にまで激減した。 鉄道はJR常磐、水戸、水郡の三線(JR常磐線は取手−福島県新地間、他は全線)で、〇三年度の輸送人員が一億二千七百六十八万三千人だったのに対し、〇四年度は一億二千五百九十六万人。これはまずまずながら、そのほかは、関東鉄道常総線、同竜ケ崎線、茨城交通湊線、鹿島鉄道線、大洗鹿島線、真岡線の全線が〇三年度以降三年連続で減少している。 同対策室は昨年秋、公共交通に関する県民等アンケートを実施。それによると、鉄道やバスなど公共交通について一般県民の約八割が「必要」と回答。行政による財政的支援に関して約七割が「行うべき」と答えた。 それらを踏まえ、県は来年度から公共交通活性化推進事業を展開する。「地方の公共交通は住民に乗ってもらわなければ残せない」(同対策室)ことを理解してもらうため、鉄道沿線の児童・生徒に公共交通の重要性を認識してもらう「モビリティ・マネジメント」を推進するほか、県民、鉄道・バス事業者、行政の意見交換の場を創設し、三者で共通認識を持ちながら具体的な利用促進策に取り組む。 また、鉄道と道路の両方を走行できるDMV(デュアル・モード・ビークル)がJR北海道で四月から試験運行されるのを受け、県内の地方鉄道にDMV導入が可能か調査・検討する。 そのほか、国の補助対象にならない投資額が五千万円未満の施設整備に対し、市町村と五分の一ずつを補助し、地方鉄道の安全性や利便性を向上させる。 バス路線の維持確保にも力を入れ、赤字路線への補助対象を拡大するほか、新たに、最終バスの運行時間帯を繰り下げる路線に対し、赤字分を負担する。 地方鉄道(バス)は、県が推し進める「陸・海・空のネットワーク化」からこぼれ落ちた存在だ。県は存続・活性化へようやく本腰を入れるが、鹿島鉄道線の廃止決定に加え、関東鉄道も今月、少子化やつくばエクスプレス(TX)開業に伴う輸送人員・旅客収入の大幅な落ち込みから、鉄道の運賃値上げ申請を余儀なくされるなど、苦しい経営が続く。茨城交通はかねて湊線廃止の意向を示しており、同線の〇八年度以降の存続が危ぶまれている。 地方の公共交通活性化への道のりは遠く、険しい。 【写真説明】 3月いっぱいでの廃止が決まった鹿島鉄道線 |