航空自衛隊百里基地(茨城県小美玉市)を民間共用化して平成21年度の開港を目指している茨城空港へのアクセスを確保しようと、茨城県などは、廃線となった鹿島鉄道の線路をバス専用道路として整備する方針を固めた。バスの運行は民間が行う。線路跡をバス専用道にする手法は鉄道会社が取り組んでいる例があるが、自治体が設置する「公設民営方式」は全国で初めて。
鹿島鉄道は大正13年に鹿島参宮鉄道として営業を開始。昭和4年に全線が開通し、茨城県中部の石岡市と鉾田市の27.2キロを結んでいた。しかし、百里基地への燃料輸送がトラックに切り替えられたことや乗客の減少で今年3月、83年の歴史に幕を閉じていた。
バス専用道として整備が検討されているのは、JR常磐線と接続していた旧石岡駅と茨城空港に近い旧常陸小川駅間を結ぶ7.35キロの区間。県や石岡市、小美玉市が踏切を交差点にして信号機を設置したり、バス停を作るほか、バスの車両も公費で購入する。
朝夕の混雑時に10分間隔で運転するなど地元住民の利便性が向上するほか、空港アクセスとしても期待。旧常陸小川駅と空港の間は既存の道路を利用し、石岡駅−空港間を約25分で結ぶ計画だ。
石岡市などは線路の敷地の譲渡か無償貸与を求めているが、鹿島鉄道の親会社の関東鉄道は駅の敷地とともに買い取るよう求めており、今後、交渉が行われる。