2007年5月17日  読売新聞)

DMV湊線へ導入探る

 県は今年度、鉄道と道路の両方を走行でき、経費が安上がりなデュアル・モード・ビークル(DMV)の県内での導入の可能性を探る調査を国土交通省と共同で始める。特に茨城交通湊鉄道線立て直しの切り札にしたい考え。茨城交通も「協力できることがあれば協力したい」と前向きな姿勢を示している。

 調査では、まず湊線について〈1〉鉄道存続〈2〉DMV導入〈3〉廃線後に代替バス運行――の3パターンに分け、それぞれの長短をみる。DMV導入がふさわしいとなれば、具体的なルート選定まで踏み込む方針。

 DMVはJR北海道が4月から試験営業運行を始めた。車体はマイクロバスを改良したもので、タイヤ以外に、線路を安定して走るために車輪も備えている。道路、線路ともタイヤが駆動力となる。車両価格はJRで一般的に使われている車両の6分の1の約2000万円と安く、定期検査費も4分の1以下の年100万円程度で済む。ただ1両の定員は16人しかなく、朝夕のラッシュ時には客を乗せきれないおそれがある。さらに、線路では鉄道用の衝突防止システムに代わる新たな仕組みも必要となるなど、実用化にあたっては課題も山積している。

 県はもともと、鹿島鉄道へのDMV導入を検討してきた。しかし、鹿島鉄道が廃線となったため、調査対象を茨城交通湊鉄道線に切り替えた。