2007年4月17日 茨城新聞

 鹿島鉄道の歩み振り返る 行方で写真3人展
2007/04/17(火) 本紙朝刊 北鹿 A版 17頁
沿線の暮らし、風景紹介
 先月三十一日に八十三年の歴史を閉じた鹿島鉄道(石岡−鉾田、二十七・二`)の写真回顧三人展が、「鹿島鉄道今昔物語」と題し、行方市玉造甲の霞ケ浦ふれあいランド虹の塔で開かれている。昭和四十年代から撮影してきたモノクロ、カラー計七十六枚を展示し、ローカル鉄道の歩みを振り返っている。六月十五日まで。

 出品者は石岡市の太田晃さん(65)、長田清さん(故人)、かすみがうら市の浅野式頼さん(54)。展覧会は「鹿島鉄道とともに」「子供たちの夢を乗せて」「四季を詩(うた)う」の三部門に分かれ、鉄道員の仕事、沿線住民の暮らしの変化や沿線風景などを紹介している。
 ツルハシを高々と上げた昔の保線作業の様子や、駅で遊ぶ昔の子どもたちの姿、のんびり寝そべる猫、携帯電話片手の学生たちなど、さまざまな角度から鉄道の歴史を振り返っている。
 出品作の半数以上を占める四十六枚が太田さんの作品。今年二月に亡くなった長田さんとともに、石岡市役所に勤務していた一九七〇年ごろから鹿島鉄道を撮り続けてきた。
 太田さんは当時の写真を見ながら、「昭和四十五年から六十年ごろの桃浦駅では女性の駅長さんがいて、子どもに人気だった。駅舎の事務室には子どもたちがいっぱいいた」と、懐かしそうに振り返る。
 当時は廃線など思いもよらなかったが、昭和六十年代に入って乗降客が極端に減ったのを実感した。今回の廃線について「やむを得ないかな」と太田さん。その一方で長く被写体として追い求めてきただけに「寂しさはある」と胸の内を語る。
 浅野さんは、太田さんと同じ写真クラブに所属する縁で、五年前から鹿島鉄道を撮り始めた。「地域の中に溶け込んでいる鉄道の姿を見てもらいたい」と語る。
 今回と同じ写真展は二月中旬に水戸市内で開催されたが、期間が短かったため、地元の人たちの声に押され、沿線地域の玉造地区で二カ月間展示することになった。作品に写っている人で希望者には焼き増しして提供する予定だ。