2007年4月17日 茨城新聞
公共交通利用増へ会議 県が活性化指針 行政と県民事業者連携 |
2007/04/17(火) 本紙朝刊 第1社会 A版 23頁 |
日立電鉄と鹿島鉄道の相次ぐ廃線など公共交通の利用減少が問題になる中、県の「公共交通活性化指針(仮称)」が十六日までに、まとまった。行政と県民・地域、事業者が一体となって公共交通の維持・確保に取り組む内容。本年度から二〇一〇年度を期間として、それぞれの役割分担を明確にした上で各種施策を進めるとしている。本県で公共交通に関する指針の策定は初めて。 指針は、公共交通に対して@利便性向上と利用促進の同時実施A市町村の対策強化B県民の意識向上C事業者の取り組み強化−を取り組み方針に掲げ、それぞれの具体策を示した。計画具体化に向け、関係者で県公共交通活性化会議(仮称)を立ち上げ、互いに義務を負う“契約”の考え方で連携する方針という。 本年度は、利便性向上の施策として、路線バスに対する支援拡大(本年度予算約八千七百万円)、駅のバリアフリー化・ノンステップバス導入促進(同千三百万円)、道路・線路を走行可能なデュアル・モード・ビークル(DMV)の導入可能性検討(同三百万円)、公共車両優先システム(PTPS)の導入検討、小・中学生などへの意識向上教育、協力企業によるノーマイカーデー実施、鉄道利用促進団体の設立などを進める。 期間中の政策目標は▽公共交通機関の輸送人員を年間一億八千二百万人(〇五年度一億七千九百万人)▽地方鉄道五路線(JR線、TXを除く各線)の存続、乗り合いバス系統数維持(同九百一系統)▽全市町村で公共交通計画策定(〇六年度までに四市)▽一日五千人以上利用の全鉄道駅にエレベーター、エスカレーター設置(〇五年度56%)▽ノンステップバスを20%導入(同5・9%)−などを掲げた。 県内公共交通を取り巻く状況は、地方鉄道、バス、タクシーの輸送人員がここ五年間に年間約五百万人ずつ減少し、バス路線が昨年度まで五年間で約百五十系統廃止された。県民アンケートでは約八割が「公共交通は必要」と答えながら、運賃や利便性で改善を求める声が多かった。 同指針策定検討委(委員長・石田東生筑波大教授)は昨年夏から協議。十六日、橋本昌知事に指針を提出した石田委員長は「県民と事業者、行政が公共交通をどう残していくのかをしっかり話し合うべき」などと述べた。 |